HOME | CONTENTS | 中新や at 多井 | 2018年4月7日

 


 

ひたすら歩いた道

2018.04.07

 

 50年ほど前には、島のなかの何処に行くのでも歩くしか方法がなかった。わたしは小学3年までしか島にいなかったが、多井から崎小学校へは歩いて通った。 日須賀のM岡さんも御波の小学校まで急坂をのぼって1時間弱歩いたという。そしていまその草木に埋もれてしまっている通学路を、仲間たちとよみがえらせている。案外にかつての道の所在は察しがつくそうだ。
「ライフワークみたいなもんでね、どんどん進めていきたい」心強い言葉だ。
 前には崎への道も日須賀の道のまわりも放牧地で、木はほとんどなく、海を見おろしながらの歩きはまったく苦にならなかった。ポンポン船が行き来するさまや、牧草地をたまには走ったりする牛どもを眺めながら、帰校時には弁当を食って、道なき山のなかに冒険にはいっていくのである。文字通りに道草だ。
 そのころ日須賀のそばまで足をのばしたことがあって、ねらいはどこかの農園の栗である。何個か盗んでいると「コラーッ」。あの怒鳴り声はいまでも忘れていない。生栗は渋皮を歯でガシガシむいて食った。食糧難の時代だった。
 後鳥羽上皇も歩かれたという、島の縦横にある古い道がよみがえったら、ひたすら歩きたい人たちへのすばらしい観光資源になると確信している。(M)